◇◇◇◇ 実際の人物、団体とはぜったい、まったく、本当に無関係です ◇◇◇◇
キーン!!
高い金属音は、青くあおい空に吸い込まれず伸びた。
左のエースは鋭く振り返る。だが音に反して白球は失速し、満員の外野スタンドを背景にたった一瞬、静止した。全速力で落下点に入った左翼手がグラヴを差し上げる。中堅手もバックアップに駆け込んで来る。
割れんばかりの歓声と悲鳴のような溜息の中、白球は下降する。ネクストバッターズサークルの打者が天を仰いだ。
捕手はマスクをかなぐり捨ててマウンドに奔る。同じようにマウンドに駆け寄る一塁手と二塁手の後ろで、最後の打者が膝から崩れ落ちた。三塁手は白球の行方を最後まで見届けず、あとはマウンドを見ればいいとばかりに前を向いた。
白球が左翼手のグラヴに収まった瞬間、左腕は両手を高々と上げ、跳び上がった。それを捕手が抱き止める。内野陣がバッテリーを取り囲み、ベンチから飛び出してきた9人も頂上に辿り着く。
最後の打球を捕球した左翼手に後ろから中堅手が抱きついて、二人を迎えた遊撃手は両手を広げた。三人は転がるように世界の中心へ向かう。
炎天下の光と音の洪水を切り裂いて、右のエースが人差し指を立てた手を高々と掲げる。幾つもの手がそれに続いた。
爆ぜた感情は言葉にならないまま、全員が咆哮した。
そして最後に、芝の最深部から駆け付けた右翼手が輪の中に飛び込んで、18本目の指が蒼天を差した。
『○○付属△△高校、38年ぶり3度目の優勝!』
空に君臨する真夏の太陽は眩く、白く、熱く。
47000人の大歓声と万雷の拍手の中、アナウンサが絶叫する。
『この夏、3906チームの頂点に立ちました!!』
ひみつ
あっ
声にならない声は、ざわめきで満ちた放課後に吸い込まれた。
化学のレポートを持て余していた雅春が、なにとはなしに見渡したグラウンド、視界の隅にブルペンを捉えた。毎日毎日、アホみたいに見ているけれど、今日、そこにいるのは珍しく一人だけだった。
ガタリ、と机が揺れる。
マサハルは身を乗り出して、目を凝らした。間違いない。
大きく息を吸う。シャーペンを取り上げると、手近なクラスメイトを捕まえた。相手構わず知恵を拝借しレポートを急ピッチで仕上げると、グラウンドを再確認する。ぱらぱらと人影が増えていて、キャッチボールが始まっていたが、まだ空間が余っている。
よし、とマサハルは拳を握り締め、荷物をまとめるのもそこそこに教室を飛び出した。
今なら、一人しか居ない。
周囲の光景がデタラメな速度で流れていく。
角を曲がるたび、きゅっと上履きの底が音を立てた。教室を出て特別棟に近い階段を駆け下りる間、見知った顔に声を掛けられること数回、見知らぬ顔に振り返られること(おおよそ)十数回、教師に咎められること一回。
その全部をほとんど無視して、マサハルは最後の5段をひと息で飛び降りた。校内では相応の有名人だが、ほぼ全速力の彼を呼び止められる人間はそうそう居ない。チームメイトか陸上部の短距離選手くらいだろう。
でなければ、一大会最多二塁打タイ記録は出ない。
靴を履き替えるのももどかしく、地上に着いてみれば、彼のキャッチボールはようやく終了するところだった。受けるキャッチに座るよう指示している。
ほう、と、安堵のため息を吐いて見上げた空はもう淡く高く、ぽこぽこと浮かぶ雲も秋の気配を色濃く示す。
マサハルは意識してゆっくりとブルペンに向かった。努めて足音を立てないよう気を配って。途中、マサハルに気付いた下級生が、常の習いで勢いよく挨拶しそうになるのを目で制す。しっ、と人差し指を唇に当ててから、ブルペンを指差す。集中する投手の邪魔をしたくはなかった。
後輩達は、ああという顔で頷くと、ぺこりと頭だけ下げるが、マサハルの視野にはもう入っていなかった。
彼が、投げる。
長身がゆらりと動いた
そっと右足が前に出る
しなやかに腕が上がり 振りかぶる
まるで 祈るように胸の前にグラヴを構え、
きりりと上がる左足はそのまま
強く 踏み出すと同時に開く 肩としなる腕 と
一連の動作は淀みなく流れてゆく。
フォームを確かめているのか、普段の倍ほども時間をかけているように見えた。恐らく二割から三割程度の力の入れ方なのだろう、球速も出ていない。
それでも放たれた白球は伸びやかに走って、キャッチャーミットに収まるといい音が響く。
とにかく美しいフォームだった。
いつも通りだ、
と。
マサハルはそこで少し笑った。
ブルペンのその位置はまだ「彼」の場所だった。
新体制発足後、端々が変わっているのに、そこだけが以前のままだ。
夏大終了から六週間、本来なら入れ替わった新チームも馴染んでくる時期だ。しかし、国体まで続いた今年の夏は異例の長さだったので、まだ部の空気は浮ついている。
仕方のないこととはいえ、それについてはマサハルもちょっと申し訳ないとは思っている。そのため引退からこっち、進んでサポートに回っているし、三年生の大半がそうだった。
だが、二人だけは別格だ。
基本的に新チームの主戦と同等の待遇で練習を続けている。当然といえいばそうなのかもしれないが、かえって後輩達のためでもあった。
というのも、当初は彼らもマサハルらと同じように振る舞おうとしたがほぼ役に立たず、新キャプテンの上條に「(面倒くさいので)今までどおりでお願いします」と頭を下げられた、というより厳命されて今に至る。
上條はいいキャプテンになるだろうな、とマサハルは思う。
そうして彼は、今日も自分の場所にいる。
実はその昔、マサハルも投手をやっていた。
まあ身体能力の高い野球少年はたいていそうなのだが、あの頃はピッチャーをやるのも悪くないと思っていた。
だが、高校に入って初めて彼らの投球を見たとき、もう投手は出来ないと思った。レベルや格が違うとか、そういう感覚ではなかったように思う。
初めて「野球」を見たような、衝撃。
それから徹底的に努力した。リアルに吐くほど練習した。でなければ、その背中は守れない。
そもそも素材も実力も折り紙付きの選手ばかりのチームだ。振り落とされないよう必死に二年半。そうしてマサハルは今ようやく、ブルペンでの彼を眺めていられるところにきた。
あと何度見られるかわからないから、一度でも多く見たかった。
なるべく気配を消して、投げ込む彼を眺めていたマサハルだがやはり、気付かれた。弾いたボールを拾おうと立ち上がった新チームの正捕手、水原がこちらを見て、やはり「あっ」という顔になる。
それに釣られた彼が振り返ってマサハルを認めると、白い歯を見せた。
「ハル!」
呼ぶ声にちょっと手を上げて「よお」と応えた。
彼の笑顔は、早春の川面のように光る。水原から受け取った球をグラヴに収めたまま、右のエースは短く問う。
「これから?」
「や、その前にちょっと。化学のレポート、出してくる」
マサハルが化学室のある特別棟を指差すと、彼は「ああ」と頷いた。
「有機化合物のあれかあ、お疲れ」
マサハルたちは遠征や大会で実験等にほぼ参加できないので、シーズンが終わると救済措置として特別にレポートや課題が課される。そのノルマを達成しないと進級や卒業もおぼつかないので、特に引退した三年生はいま必死で課題に取り組んでいた。
「お前は? 終わった?」
「うん、一昨日出した」
「へえ。はやいじゃん、締め切り明後日だろ」
ちょっと本気で感心したマサハルに、彼ははにかみながら答える。
「いやー、このあいだのテスト、散々だったから… せめてここで稼いどかないと。卒業できなかったらマジ、ヤバイ」
「あー、だなー、ここにきて留年とかハズいな」
「笑うなよ… ほんと切実なんだって」
「指名されたのに留年とか、ゼンダイミモンだろ。むしろレジェンドじゃね?」
「なりたくねえよ、そのレジェンド」
はははっと笑ってボールを握り直した彼に、マサハルはようやく一番、訊きたくなかったことを訊いた。
「今日は?」
と、彼の隣を顎先で示して、それだけを問えば、
「ああ、検査だって」
ちらりとそちらに視線を投げて、彼もそれだけを答えた。
そうか、と頷いたマサハルが立ち去らないのを見て、長い首をすこし傾げた。「どうした?」と、彼が問う前に、
「お前と、ガチで勝負したかったな」
不意に、言葉がこぼれた。
当のマサハルも驚くほど、それは真摯な声になったから慌てて「まあ三振だろうけど」と付け足したが、まさにそれは覆水盆に返らずだった。
怪訝な顔の彼を見るに、マサハルは失敗したなと胸の内で舌打ちした。
無論、彼とチームメイトとなったことは、マサハルにとっては奇跡としかいいようがない幸運だ。彼が投げる試合で、その後ろに立てたことが心底誇らしかった。仲間としての矜持も選手としての意地も、両腕で抱えるには足りないくらい持ち合わせている。
そして、彼のワインドアップに合わせてピリリと引き締まる空気、あのグラウンドの高揚を味わうのが、好きだった。そのための日々の鍛錬だ。ライトの定位置で腰を落としたマサハルの目に映る彼の背中は真っ直ぐで、世界の中心に凜然と立つ、まさにエースだったけれど。
けれど、どうしても消えない。
自分が対戦相手だったらどうだっただろう、という想像が。
バッターボックスに入れば、少なくとも、最低一球、彼が自分に向き合うのだ。もちろんゲームの流れや戦略があって、そんな単純なものではないことも、今では知っているけれど。
でも。
その瞬間、ピッチャーとバッターが対峙する、その時だけ、
打者は彼を独占できるのだ。
妬ましいと、思わないでいるのは難しい。
だが、そんな時はもう来ない。
彼と真剣勝負をするチャンスは、もうない。
マサハルはそっと顔を背け、自嘲気味に唇を歪めた。
彼らと自分の才能と力の差は、嫌というほど知っていた。その上で高校時代をチームメイトとして過ごしたなら、同じポテンシャルで対戦相手として向かい合う機会は永遠に失われている。
だから、そんな未練のような言葉を、彼にぶつけるもりなどなかったのに。致命的なエラーに臍をかみ、マサハルは「じゃあ俺、行くわ」と踵を返そうとした、時。
「ハル、これから化学室だろ?」
唐突に、彼はそう訊いてきた。
まったく予期しない真剣さで言うので、マサハルはぽかんと口を開けた。
「…は」
「それから着替えてアップして、40分… いや、30分はかかるよな? あ、ゆっくりでいいから!」
「はあ?」
嫌な予感に、マサハルの眉が少し上がる。しかしその機微は伝わらず、真面目な顔で彼は言うのだ。
「や、だから勝負しようかって。せっかくだし」
オイ待て、と喉まで出掛かった。そう来るか。
「それならやっぱ、ちゃんと肩作らないと。夏の六割打者にテキトーな球、投げらんねえから」
眉間に皺を寄せてそう呟く右のエースを、一瞬、本当にひっぱたくか迷った。
ちげーよ、そうじゃねえよ、と、言えるものなら言いたかったが、本当のことはもっと絶対に言えない。どうしてくれよう、とマサハルが内心頭を抱えていると、
「どったの?」
声がした。もう一人の、ブルペンの主の声が。
はっとして二人、振り返れば、そこには過たず左のエースが居た。
「マサハルはいまから?」
そう言って笑う。
こちらは、真夏の向日葵のようだった。ぱっと空気が華やぐのが判る。
普段の右腕は柔和で人当たりが良く口数も多いが、マウンドに立てばナイフのような鋭さと苛烈さを見せる。逆に、左腕は明朗快活でいつも輪の中心にいるタイプなのに、試合中は水を打ったような静けさで、ほとんど表情を変えない。
本当に何からなにまで、対照的な二人だった。
「…お疲れ」
なんとか自然に笑ったマサハルに手を振って、左腕は悠々と近付いて来ると当たり前のように彼の隣に並んで、キャッチボールの準備を始めた。
表情を改めて「どうだった?」と訊く彼に、足場をならしながら「ああ、うん」と彼も応える。
その、数十秒のうちに隣が埋まってしまうから、マサハルはため息を呑み込むので精一杯だった。
ようやっと声をひねり出し、行ってくるわ、と身を反しかけると、左腕が不思議そうに尋ねる。
「え、どっか行くの?」
「化学室、レポート出しに」
「ああそうか、レポート」
やっとそこを思い出した彼がぽんとグラヴを叩くと、相方が訝しげに首を捻った。
「レポート…?」
「そう、有機のやつ出てただろ、課題」
「明後日締め切りの」
基本情報を並べてみてもまったくのノーリアクションで、マサハルも彼も勘付く。これはやってない。間違いなく全然やってない。
「どんな感じ…?」
と、いちおう右腕が尋ねると、左腕は目を逸らしながら言う。
「…明日から本気出す」
「いや、今日から出せよ」
マサハルも思わず突っ込む。両エースともそれなりに頭の回転は速いのだが、特に左腕は瞬発力でカバーできない分野は不得手だ。これは誰か巻き込まれるだろうなと思いつつ、頑張れよと適当なエールを送った。そして、またあとでと言うマサハルに、彼は真顔で念をおす。
「のんびりでいいぞ」
「可能な限り全速力で行ってくっから」
「いや、怪我したらアレだし、ゆっくりでええって」
「え、なんか急いですることあんの?」
それがさ、と彼が嬉々として続ける。完全にキャッチボールのことは忘れているのだろう。キャッチ達が気の毒で仕方がないが、だいたい捕手連中は彼らに甘いし、慣れっこなのか水原は左腕に付いてきた一年となにやら話し込んでいた。
「ハルが、ガチで勝負したいんだって。俺と」
「は? しょうぶ?」
そう、と頷いた彼とマサハルを交互に眺める。三回くらい往復したあと、左腕は眉根に力を入れて呟く。
「化学室だっけか。戻って、アップして、先に一打席やって、30分はかかるよな? 大丈夫、間に合う」
何に、とは恐ろしくて訊けなかった。マサハルが二の句を継げないでいるうちに、エース達は勝手に話を進める。
「え、なに、お前もやんの?」
「だって六割打者だろー? やっとかなきゃじゃん」
「まあそうだよなあ。じゃあ、とりあえずジャッジを誰かに、」
と盛り上がる二人に、マサハルは思わず吐き出す。
「リア充爆発しろ」
二つくらい声のトーンが低くなったのは大目に見てもらいたい。
「は?」「え?」
「何でもねえよ。つーか、いまやりたいとか言ってねえし、俺」
「ええっ、やろうぜ!」
「ガチンコなんてなかなか… ん? いま?」
はたと気付いたように、彼は一旦言葉を切ると、今度は目を輝かせた。
「そうか、ガチで勝負するならゲームやんないとな。紅白戦とか」
「紅白戦! その手があった!」
「ねえよッ! 上條たちがメーワクすんだろ。てか、水原たち待ってんぞ、さっさと続きやれよ」
手を大きく振って、とにかく後で、と今度こそ本当に踵を返してずんずんと先に進んだ。マサハルはそっと腹に力を入れる。
振り返らないでいるのは、練習よりは楽だった。
ただ、化学室から戻って来る頃には紅白戦のオーダーが決まっていそうだ、とマサハルは少し苦笑した。
右翼手を見送ってから、ようやっと投げ込みを再開したが、さすがに間が空きすぎたのでもう一度、キャッチボールをしばし。
投げた球の軌道を確かめていた彼の視野に、特別棟のドアに消えていくマサハルのぴしりと伸びた背中が入り込んで、ふっとある予感が胸を過ぎる。
カウントは2-2、追い込んで投じた決め球のスライダー、
を、鮮やかに打ち返される、画が
ぞくりと背筋が冷える。
マサハルはもともと、守備力と足を買われてのベンチ入りだったが、この夏は本当によく打った。
地方大会も良かったが、尻上がりに調子を上げた。四番のリョウタやキャッチャーのオカちゃんのようなパワーヒッターではないし、本来、一、二番コンビのようなアベレージヒッターでもないが、本大会は驚異的な当たりで21打数12安打、打点6。最終的には五番に打順を上げた。ヒット性の当たりを好捕されたのもあったから、チーム内では冗談半分で六割打者と呼ばれたりしている。マサハルの活躍あってこその頂点だと、誰もが認めていた。
そう、本当に見事だったのだ。
一見して華奢にさえ見える躯だが、ジャストミートした白球は軽々と内野を越えていき、思わず嘆息したものだ。味方にすればこれ以上もなく頼もしいが、敵に廻せばこれほど厄介なバッターもなかなかいない。
そんな打者との勝負は、どんなにか楽しいだろう。
彼は硬球を強く握って、微かに笑う。
そして再び水原に座るよう頼むと、いつものように振りかぶって、一球。ストライクゾーンのど真ん中に入って、ミットがいい音を立てた。
うん、と彼はひとつ頷く。
「俺さ、」
と、隣から声が掛かった。この距離で、相手にしか聞こえない範疇の声だ。彼はキャッチからの返球を受けながら、「うん?」と左隣の相方へ顔を向けた。
相方は笑っていた。
「マサハルの秘密、いっこだけ知ってんだ」
いつもの磊落な笑顔ではない。どこか籠もった… だが、柔らかな笑顔で。彼は応える言葉を見失い、少し、狼狽える。
どういうことだろう。
マサハルの秘密、とは… 進路だろうか? それならてっきり内部進学だと、思っていたのだが。もしかして故郷の方の大学にするのだろうか? それなら確かに知らない。
いや、第一、なぜ相方がマサハルの秘密を知っているのだろう?
もちろん相方とマサハルは仲が良い。というか、相方と仲が良くないチームメイトはほぼいない(付き合いの濃淡はあるが)。ただ彼としては、どちらかというと郷里が近く、中学時代に面識もあった自分の方がマサハルとは親密だと、思っていたのだが。
と、考えながら、大きく振りかぶって、腕を振る。
今度の球は大きく逸れて、水原が跳び上がるが捕球し損ねた。「わりぃ!」と謝って返球を待つ間、もう一度考えて結局、尋ねた。
「秘密って、なに?」
問い返されるのは予想していたのだろう。というより、待たれていたのかも知れない。相方は、もうちょっとだけ、深く笑った。
「教えなーい」
「…なんだそりゃ」
だって秘密だから、と。
そう言ってから、相方も身振りでキャッチに座るよう指示する。呆気にとられる彼を他所に、左腕はすっと左足を一歩、前に出す。右足が上がる。おおらかなフォームから放たれる白球はいつものように、強く、速く。
ひみつだから、か。
と。
彼も声に出さず呟いて、空を見上げた。
秋の空は透明な青さで、あのマウンドから見上げた空とはまるで違っていた。
その、最後の季節が終わったことを思い知る。
だが、新しい季節に心が躍った。
今度迎える打者は
「楽しみだ」
彼は誰にも聞こえないように呟いた。
本当に、まったく、ぜったい、ちっとも、実際の人物、団体とは無関係です…!
犯罪っぽいなあ… いや、でも別人格になってるから! ちょっとスペックと戦歴と経歴が同じだけだから!! ごめんなさい…m(_ _)m
2016.1.17収録